はじめまして!羊毛フェルト作家mai☆maiです。私は30代女性で、これからどう生きていくか?いつも自問自答しております。
今回は高森美由紀さんの「羊毛フェルトの比重」を読んでしっくりきて、心が軽くなったので勝手にレビューしちゃいます!
青森県八戸市に住む30代の女性。紬(つむぎ)は手芸店・八戸クラフトに10年勤めている。リスペクトのない職場や、ご都合主義の彼氏、微妙な親子関係。でも見て見ぬふりをしながらなんとなく生活を送っていた。しかし、手芸台につけられたたばこの焦げ跡を目にしたとき、「このままでいいのか?」…「人間関係、仕事、親子関係」羊毛フェルトを通じて自分を取り戻していく物語。羊毛フェルトの作成の先にある生きる意味が
物語を読み進めるにつれて、羊毛フェルト作成のその先にある意味や、タイトルのなかにある「比重」という意味が自分自身の人生とも重なっていきます。誰もが共感し、自分自身の人生を見つめなおすきっかけもくれる本です。
【書籍名】羊毛フェルトの比重
【著者】髙森 美由紀(Miyuki Takamori)
【判型】四六判
【ページ数】354ページ
【定価】本体1,600円+税
【発売日】2022年4月13日
著者の高森美由紀さんについて
出身地:青森県
出身高校:青森県立八戸西高等学校
受賞歴:第15回中電児童文学賞大賞受賞、2014年『ジャパン・ディグニティ』で株式会社にて第1回暮らしの小説大賞受賞、2015年『いっしよにアんべ!』で第44回児童文芸新人賞を受賞、2017年『花木荘のひとびと』で集英社が主催する第84回ノベル大賞受賞
この物語のここに共感‼
共感したこと① 面倒な人間関係をスルーして過ごす紬
物語の冒頭では、主人公の紬の日常が描かれています。
意地悪な上司をやり過ごしながら業務をこなし、彼氏ともルーズ付き合いながら現状を変えられず、変える事もなく過ごしていきます。
30代になると仕事も慣れてきてなんとなく業務をこなし、間違っていることも見て見ぬふりをすることが増えてくる。
私は30歳になる直前、結婚を意識したり周りからせかされたりストレス爆発しそうな時もあったな~
なんかこのリアルな日常に妙に共感したんだよな~
共感したこと② 自分に正直になれる時間
紬は物語の中で羊毛フェルトを通じて、「仕事、人間関係」に正直に向き合っていく様子が描かれています。
紬は羊毛フェルトを作る過程で、考え事や決断をしていきます。
自分に正直に向き合っていく過程でこの物語の印象的でかなり的を得ていると思うフレーズがあります。それは
「針で刺した羊毛フェルトがまとまるにつれて自分の考えもまとまっていく」
というフレーズです。
羊毛フェルトを作ったことが無い人は、作成しながらそんなことが出来るの?と思われるかもしれません。
私もこの物語を読むまでは意識はしていませんでしたが、
無心に針で羊毛フェルトを刺し固めていると、不思議と心が軽くなったり考え事がまとまったり、前向きな気持ちになることが出来るんですよね。
なんだか不思議ですが、羊毛フェルト作品作りが心の栄養剤になっていたりします。
共感したこと③ 羊毛フェルトで変わる人間関係
紬は自分で作った羊毛フェルトを手芸店に展示したことや、家族にプレゼントしたことで人間関係や仕事の環境が変化していきます。
この物語で一人の少年との出逢いは紬の人生を変える大きなきっかけになっていきます。
紬は大切ものの優先順位をはっきりさせていきます。
このことは紬だけでなく、普段なにげなく周りに合わせて生活を送る私たちにとって考えさせられる内容でした。
そして
物語の終盤でこの本のタイトルの中にある「比重」という言葉の意味が分かります。
主人公のように10年間同じ環境で生活をしていると大切なものを見失いがちになるような気がします。
限られた時間の中で自分自身がどんな時間を過ごしたいか、だれと時間を過ごすか、そんなことを改めて考えさせられました。
自分の中の「比重」を決め、それに向かって行動することで人生は大きく変化していくのだと思いました。
この本をおすすめしたい人!
この本は、現状を変えたいと思っているけどなかなか踏み出せない人におススメです。
私たちは学校、仕事、その中で関わるたくさんの人や環境の中で生活をしています。
特に社会人になると、自分で行動しない限り人間関係や生活環境は固定化しがちですよね。
この本は、そんな日々を立ち止まって振り返り、自分の人生にとって大切なものを見直す機会を作ってくれるように思います。
羊毛フェルトが好きな人に関わらずどなたにでもおススメの本です。
そして、この本をきっかけに羊毛フェルトファンが増えたらもっといいな~と思っています。